asppe_dr’s blog

私のアスペ的体験を開き直るための記録です。-yahoo blog閉鎖に伴い移転しました-

校則の思い出

通称「温泉旅館」
近所にある大型飲食ビルのこと。
なぜそんな名前で呼ばれるかというと、いつも昭和の歌を流しているからだ。
店で流しているのではなく外に向けて大音量で、まるで子どもの頃、夕暮れ時に毎日聞こえていた夕焼小焼のメロディーのように。
昨日、昼飯を買いに行こうと歩いていると、流れてくるメロディーがいやに耳についた。
なんとなく聴いたことがあるような気がするけども、なんの歌かわからない。
しばらくしてさわりの部分にさしかかった。
「激しい雨が俺を洗う 激しい風が俺を運ぶ……」
ああ。題名も歌手も知らないけど、遠い昔に聴いたことがある。割と好きな曲だった気がする。
 
夜になってからネットで検索してみると、THE MODSの「激しい雨が」という曲らしい。
芸能音痴のオレには珍しく、そのグループは名前くらいは知っている。
中学生の頃に再放送で観ていたドラマ、「中卒・東大一直線 もう高校はいらない!」の主題歌を歌っていたからだ。
「バラッドをお前に」という曲で、当時とても気に入ってよく口ずさんでいた。
といってもレコードを買うほどの小遣いも熱意もなく、他の曲は全然知らなかったのだが。
 
その頃、オレは校則に疑問を抱いていて、かといっておおっぴらに反抗する勇気もなく、悶々とした日々を過ごしていた。
「髪は眉毛にかからない」、「制服はマル適マークのついたものだけ」
そういった規則の一つひとつが、何の意味を持つのか理解できなかった。
規則がすべて嫌なのではなく、規則のための規則に我慢がならなかった。妥当な理由があっての規則には、むしろ好意的に従いたいと思う中学生だったと思う。だけど、なぜ必要なのかがわからない規則に従うのは、自分自身を否定して、貶める行為だという信念を強く持っていたし、それが正しいことだと思っていた。
髪が眉毛にかかってはいけないという校則を撤回するように血書を書こうと左手の薬指に剃刀をあてた夜もあった。
だけど、結局は臆病な子どもで、指を切ることも大手を振って校則を破ることもできなかった。
ほそぼそと伸ばした前髪を、整髪料も持っていなかったのでニベアを擦り込んで上げて学校へ行き、休み時間にすれ違った教師に髪を引っ張られ、「これ長すぎるぞ」と言われては言い返すこともできずにヘラヘラと笑って、家に帰ってから己の不甲斐なさに独り泣き泣き、鋏を握って髪を切るような子どもだったのだ。
そんな具合だったから、入学時から制服着用を拒否したドラマの主人公に尊敬と憧れを抱いていた。
もちろんオレは高校進学を拒否して大検を受ける勇気もなかった。
 
誰彼の曲だから好きというのではなく、いいなと思った曲が実は好きな歌手のものだったというのはとてもインパクトがある。
まあ、THE MODSに関しては多分この二曲しか知らないんだけど。
古い曲は古い記憶を呼び覚ます。
今日も温泉旅館は人々に昔を思い出させるのだろう。